スミセイと人
いいね!スミセイ! 第3回(障がい者支援編)
世の中から「いいね!」と言われる取組みを紹介する「いいね!スミセイ!」。
今回は、「障がい者支援」を取り上げます。住友生命が取り組む「社会・環境課題の解決」「持続可能な社会の実現」への貢献の中でも、今特に世間からの注目を浴びている取組みのひとつになります。
住友生命の中心となる事業はもちろん生命保険なのですが、企業はそれぞれの中核事業だけをやっていればOKという時代ではなくなりつつあります。たとえば、世の中いたるところに「格差」が横たわっています。そして「格差」をはじめとする社会問題は、我々も社会の一員である以上、決して他人事として片づけることはできません。「保険は入りたいけど生活費で手一杯なので無理」「子供に障がいがあるので家を空けられない」などの場面に遭遇したことは皆さん一度や二度ではないのではないでしょうか。
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インタビュアー: 百田さん、本日はよろしくお願いします。
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百田: よろしくお願いします。
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インタビュアー: まずは、TomoWorkについて簡単にご紹介お願いします。
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百田: TomoWorkは、障がい者の就労支援を目的に、2021年にシンガポールで設立されたNPO法人になります。シンガポールは小さな国ですが、であるがゆえに国を挙げて新しいビジネスを産みだそうとしている本当に活気ある国です。私もこちらで活動するようになって4年が経ち、何百人という企業関係者、政府関係者、社会活動家と会ってきた中で感じることは、前例に捉われずに果敢に挑戦していくチャレンジ精神と成長意欲です。
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インタビュアー: なぜ今障がい者の就労支援なのでしょうか?
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百田: 日本には900万人の障がいのある方がおられます。皆さんも身近に感じる場面も多いと思います。そして、多くの障がいのある方にとって就職は大きなハードルで、自分が望む職を得られないケースも多いです。でもこれっておかしくないでしょうか?世の中はデジタルが進化して、数年前と比べて仕事のやり方も大きく変わってきています。従来は最初からあきらめていた就職もあきらめることはないんじゃないか、そして多くの人が社会に参加できることが本来あるべき世の中なんじゃないか、という思いが根底にあります。
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インタビュアー: よく分ります。障がいがあることで、最初から選択肢が限られる世の中はおかしいですよね。
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百田: 就職して経済的に自立することは本人の喜びでもあるんですが、周囲の親、家族にとっても何よりも大きな喜びなんです。
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インタビュアー: 実際にTomoWorkのプログラムを利用された方のお声をお聞きしたいです。
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百田: 高等教育機関(日本でいう高専)の障がいを持つ卒業生を対象に実施した就労支援プログラムに参加したサブリナさん、ゼビアさんの声を紹介させてください。
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プログラムに参加する前は、社会人になることに不安を感じていました。家族や介助をしてくれる人たちの助けを受けず、自立した社会人になる必要があったからです。どちらかと言えば、人の後ろにこっそりと隠れ、自己主張をすることが苦手でした。そんな私でしたが、TomoWorkのプログラムで、自分が学生時代に学んだデザイン技術をシンガポールの大手企業に披露する機会を得たのです。また、その結果、同社で働く機会をも得られました。プログラムを通じて、自分を過小評価することなく、自信を持って前向きに自分自身を表現できるようになりました。
(サブリナさん)
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プログラムに参加する前は、ストレスや不安などの自己管理ができず、職場で働くことに苦労をしていました。プログラムではチームのリーダー役を担当することとなり、自分のコミュニケーション能力などを磨くとともに、自分自身に自信を持てるようになりました。プログラム後は、TomoWorkのサポートもあり、シンガポール大手のエンジニアリング会社でインターンとして働く機会を得て、自分自身に自信を持ち、働いています。
(ゼビアさん)
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百田: 私たちはプログラム参加者の親御様とお話しする機会もありますが、「TomoWorkのプログラムは障がいがあっても実践的な学びが得られて素晴らしい」という声をいただくたびに勇気が湧いてきます。また、TomoWorkの話を聞きつけ「こういう世界があると勇気づけられた」と涙された親御さんのことも印象に残っています。
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インタビュアー: 実際にプログラムを使われて就職された方、そのご家族の声を聞くことで、利用者だけでなくシンガポールの世の中全体が少しずつ良くなっていることが伝わってきますね!
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百田: ありがとうございます。忘れてならないのは、私たちのプログラムは延べ300名超の熱意ある企業ボランティアのサポートによって成り立っていることです。住友生命が出資するシングライフにも協力をいただいています。同社のキアン・ヨンさんの声をご紹介しますね。
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社会人になるという大事な瞬間を控えた学生のメンター役を引き受けた理由は、社会に出て間もない自分の経験が役に立てると感じたからです。障がいの内容なども含めて非常に広範な内容について彼と話をしました。お互いが素晴らしい学びを得る機会になったので、自分の同僚にもメンターの参加を薦めました。
(シングライフ社 キアン・ヨンさん)
(メンタリングの様子:参加者の質問に答えることでキャリア形成を支援)
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インタビュアー: なるほど、よくわかりました。 少しイジワルな質問になってしまうかもしれないんですが…シンガポールの世の中が良くなることは、それはそれで素晴らしいことと思うのですが、それがスミセイにどう関わってくるのでしょうか?
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百田: いい質問ですね!当然そこが気になりますよね。障がい者就労は複雑で構造的な社会課題であって、1社・1組織で解決することは難しいと思います。我々がTomoWorkで目指しているのは、業界や機関の立場を超えて「インクルーシブな社会を創ろう!」というムーブメントであり、その取組みはシンガポールの政府や企業の関係者から認められつつあります。
(シンガポールの全工科学校・技術専科学校とTomoWorkとの提携調印式:全学長と教育省・社会家族省の副大臣が参加)
(TomoWorkの年次イベント:国家開発省の閣僚大臣をはじめ多くの企業関係者・教育関係者が参加)
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百田: このシンガポールでの経験・成功を日本でも実現していくことが今後の目標になります。日本の障がい者就労のあり方を変えていくことで、住友生命グループがVision2030で掲げる「ウェルビーイングに貢献する『なくてはならない保険会社グループ』」に貢献していきたいと考えています。
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インタビュアー: ありがとうございました!頑張ってください!
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百田: こちらこそ!皆さん、シンガポールにぜひ一度お越しください!
我々どうしても日々の営み、目の前のことに目を奪われてしまうのですが、世の中には至る所にゆがみがあって、少しのゆがみが大きなゆがみとなって世の中全体を生きづらいものとしているのではないでしょうか。
今回、百田さんのお話しをお聞きして感じたのは、障がい者の独立支援という一見生命保険とは直接関係なさそうな取り組みでありながら、「世の中をより良く」という取組みは必ず当社にも還元されるという予感です。
さまざまな格差を見て見ぬふりするのではなく、世の中の「ウェルビーイング」に貢献する保険会社グループとしてできることはないか。シンガポールという日本から遠く離れた地で頑張っているスミセイのメンバーにエールを送るとともに、日本でもそのムーブメントを広げていきましょう!!
